長い文章を載せる用です。自意識過剰です。

原風景のはなし

平成の初期にできた新興住宅街にずっと住んでいる私にとって、原風景とはなにか。

そもそも山だったこの地に、歴史などない。地名のつけ方にも無理がある。市の中心部から離れているため、自分の市に思い入れもない。おばあちゃんの家みたいに昭和の経済成長を支えた町だったり、おじいちゃんの家みたいに遊ぶところが田んぼしかない場所のほうがふるさとっぽくていいなあと思う。

家の近くの陸橋からは、工場地帯の煙がみえる。3.11のとき、黒い煙と、ときどき炎がぼわあっとあがって、窓ガラスが揺れたのを覚えている。海沿いの工場地帯と国道は、間違いなく原風景だ。

小学校のベランダからは田んぼと畑と川と、遠くの方に山が見えた。廊下側の窓からは、遊歩道と住宅街しか見えなかった。

高校はとても田舎にあった。住んでるところも郊外なのに、わざわざ1時間もかけて南のほうの高校に通っていた。しかも制服がダサい。駅から高校までの道のりは駐車場と田んぼがたくさん。初めて会った同級生が話すのは方言で、驚いた。ザ・観光地というような場所からきている友達もいて、すごく不思議だった。でも、駅の近くの商店街がとても魅力的だった。普段はほとんどのお店がシャッターをおろしているけど、夏のお祭りでとても賑わう。こんなふうに地域を練り歩くお祭り、初めてだった。商店街をたどった先にはお寺があった。古くからあるお寺だということもすごく魅力的だった。結局ないものねだりなのだろうけど。

大学は、東京のど真ん中にある。完全に知らない街だし、私の原風景などというつもりはないけど、思い入れが深い場所はたくさんある。そもそも大学の四方を怪しい人・建物に囲まれているため、普通の大学とは違うんじゃないかと思う。東京は、ビルの中に突然現れる小路や神社みたいに、現代的なものと昔からあるものが融合してるのがすごく好き。4年間通ったけど、垢抜けなかったなあ。4月からも東京に通うけど、また違うところだから、楽しみだ。

結局、私にとっての原風景がなんなのか、今はわからないけど、30歳くらいになったらわかるかな。